2015年2月27日

アナログの凄みについて

















1970年生まれのわたくしは、手描き図面世代における最後の末裔クラスでしょう。
学校を卒業して仕事をはじめたころは、まだまだ手描きで図面を描いている
会社が多かったのではないか、と記憶しています。
大手ゼネコンの下請け:A1図面を広げて、傾けたドラフターに
突っ伏しながらヨナヨナ仕事していたのを思い出します。

まっさらなトレペに、図面の完成をイメージしてレイアウトしていきます。
勿論、間違えたり変更がかかったりしたら根気よく、消しゴムで消して
図面を何度も修正していくわけですが、せっかくきれいに描いた図面を消す作業や
線を消してもトレペに残る、筆圧(線圧?)の跡がひどく憎たらしかったです。

だからなにを言いたいかといいますと... 図面を1枚描くという作業は
相当マジだった、相当気合い入ってた ということ。
コピペ、ナッジ、ディリートなんてないんですもん。
完成した青焼き図面には、設計屋の情念がにじみ出ているのですよ、 ユー・ノウ?

随分と長い前置きになってしまいましたが写真は、今ではちょっと珍しいアナログのMTR。
カセットMTR(マルチトラック・レコーダー)は自宅で簡単にカセットテープを使って
曲をレコーディング出来ちゃいます。今時はデジタル音源やパソコンソフトを
使って、楽器が弾けなくても作曲・録音・編集なんて簡単に出来る時代です。
機械が音の粒の違いやリズムの微小なズレを補正してくれます。
その点、カセットは違います。鳴らした音はダイレクトに入りますし、音割れは
音割れのまま、ヘタッピーはヘタッピーのまま。間違えたらまたアタマから録り直しです。

だからね、臨むときの本気度が違うわけです。


なんだか僕らは、便利さを手に入れ
ヒトとしての凄みを失っているのでは?