2013年3月26日

たまにはおカタい独り言











建築家賠償責任保険 という保険をご存知でしょうか?
要するに設計上のミスに起因した事故に対して、いろいろ
カバーしてくれる、専門職:建築家のための保険です。
(同じようなもので、建築士事務所賠償責任保険、建築士賠償責任保険というのもあります。)
この保険における事故内容で最も多いものを順に挙げると

結露事故
強度不足等の構造関係
漏水・浸水
地盤・不等沈下   だそうです。2大要因は水と構造 ということ。

神サマではないのだから、誰しもミスを避けられないことはある。
これらが構造設計上のミス、または施工上のミスで起きるのならば
話は理解できる。つまり構造設計や設備設計を生業としている人の
ための保険だというのであればスジが通る。むしろ入るべき。しかし
形にとらわれてばかりで、構造やディテールのことは他人にまかせてる
ような人は、いったいなんのために入ってるの?

他人に頼んだ仕事を、まかせっきりでチェックしない。もしくは
チェックしきれないほどの大プロジェクトである場合のリスク軽減…。

ぼくはこの仕事をしていますが、(ほとんど木造の)住宅しか
関わる気がありません。なぜならそれ以上の規模の建物になると
自分の目が行き届かなくなるのが分かっているからです。
自分で責任の取れる範囲でしか、仕事をしたくありません。
こんなだと、仕事の範囲は広がらないのかもしれませんが、そのかわり
人の手柄を我がもの顔で自慢するようなこともありません。

本来、建築家とは
より優れた建築をつくるために存在するのではないのですか?
その建物に
建築家が関わることで、またひとつ余計な保険が増えるようなら
いったいなんのための建築家ですか?                   mct.



2013年3月21日

mbv:my bloody valentine



興味のある方は多くないとはおもうのですが、どうしても
書かないわけにいかなかったので、どうかお付き合いを。


左・赤ジャケ:loveless (1991年)
右・青ジャケ:m b v (2013年)

前回、申し上げた通り約22年ぶりの新作です。
loveless が滑らかな球体だとすれば、新作の m b v は
多面体。より角がある。しかし、なかは暖かい。

すべての曲が数珠つなぎになっているlovelessを20年
以上も聴きすぎたせいか、ふつうあってあたりまえの
曲間のブランクに凄まじい違和感を憶える。

こだわりまくっていたモノラル(前作)から、ステレオ(新作)へ。
なんでも、92~93年あたりにつくったリズムトラックに、あらたにギターと
ボーカルを乗せたとか…。まるでヴィンテージ物のファブリックを使って
あたらしくカバン作ってるみたいな感じか?
最終曲では、いままで御法度だったとも思えるフランジャーまで飛び出す。
曲作りなど、ほとんどの仕事をギターのKevin Shieldsが行っているのだ
けれど、loveless以降のソロ・ワークに近いものがもう少しあるかと思っていた
こちらの勝手な予想とは異なり、ラフでライブ感のあるバンド・サウンドだなぁという印象。

なんとなく...
今風なのはソロでいくらでも出来る。
せっかく4人でやるのだから…っていう、ちょっとノスタルジックな
若かりし頃に抱く、バンドというものに対するロマンすら漂っているような。
(スタジオでは、ほとんどを1人で演奏してるのかもしれないけれど 笑)

仕事に ドライブに 雪の降り積もる夜に。
さて本日、何回目の再生だろう...?                                                                  mct.



2013年3月10日

土浦家住宅

学生のころから、自分にとって理想の住まいの
ひとつだった『土浦家住宅』です。
いつか見たいと思っていて、先日念願叶いました。

土浦家住宅は、平成7年に東京都指定有形文化財に
指定された住宅建築で、建築家  土浦亀城さんが
昭和10年(!)に設計した自邸です。
静かな住宅街のなかにあって、現在も住まいとして
現役で使われております。

使用目的の違う3層(玄関、中2階を詳細に分ければ5層)
のフロアを階段でつなぐ立体的なアイディアや
それぞれの空間のサイズ、素材・納まりなど
お手本となる要素がたくさんあります。
これを昭和10年にやっちゃってるって...驚嘆です。

長年、写真で見てあたまの中のイメージばかり
膨らんでいたので、なんだか現実に見ているのが
とても不思議でした。

外から拝見させていただくのみでしたが、一目
会えただけでもちょっと奇跡的なこと。
有り難うございました。                  mct.